退院してからというもの,どんどん体重が増えていくあっくん.
そろそろ健常児にも追いつけるんじゃないかと体重曲線に載せてみたのですが,やっぱりまだ及ばずでした笑.
そしてふと思ったのです.
入院中の体重も曲線に載せてみたら,面白いんじゃないかな.
と言うわけで,今回はあっくんの体重曲線を公開してみます.
利用した情報
参照先
下記サイトでダウンロードできるエクセルファイルを参照させていただきました.
成長曲線作成表計算ファイル, as of 2017/04/10.
利用シート
このうち,「横断的標準身長・体重曲線 男児」の,「体重曲線」を抜粋して利用させていただきました.
改変部
エクセルファイルを編集し,補助線として±3SD(Standard Deviation, 標準偏差)を追加しました.
元データだと平均±2SDまでの補助線までとなっていたのですが,ノーウッド+グレン手術時のあっくんの体重は-3SDを下回る程の低体重となり補助線が足りなくなってしまったため,このような変更を加えております.
成長曲線に使われる補助線について
母子手帳に描かれている成長曲線には,平均とその周りの帯の部分から構成されており,我が子の体重がそこに収まっているかなーということを確認されると思います.
正体は標準偏差
それを正しく理解する上で,標準偏差は外せないので,何となく書いてみることにします笑.
ざっくり言ってしまえば,データのばらつき度合いを表すパラメータです.
絵で見たほうが早い
もう,授業みたいで嫌ですよね笑.絵で見たほうがいいですね笑.
というわけで,下図を見るとイメージできると思います.
繰り返しになりますが,母子手帳の成長曲線にも,真ん中を突っ切る平均線と,それを囲む帯があると思います.この帯を形成する補助線に対して正に標準偏差が使われているのです.標準偏差を使うと,我が子が平均からみてどれくらいの発育状況なのかを,統計学的な観点から把握することができるのです.
このグラフを見ると,あっくんの体重はある時期平均-3SDを下回る値となっていますね.だから,前述の補助線を独自に追加したのです.
もうちょい具体的には
さて,あんまり難しいことを言ってごちゃつかせたくないので超簡単にケーススタディしてしまうと,次のように解釈できます.
- 平均±1SD の範囲に収まっていれば,まぁ平均くらいだよ.具体的には,全サンプルの約68.2%はこの中に収まっているよ.
- 平均±2SD の範囲だと,多くの人が当てはまるよ.具体的には,全サンプルの約95.4%はこの中に収まっているよ.
- 平均±3SD の範囲だと,ほとんどの人が当てはまるよ.具体的には,全サンプルの約99.8%はこの中に収まっているよ.
- 平均±3SD を逸脱するってのは,かなりレアケースだよ.片側の逸脱なら1000人に1人以下の割合だよ.
このあたりの話が分かると,子供の成長度合いが数値的に把握できるようになります.
体重曲線を分析してみる
すみません,若干趣味に走りました汗.
さて,気を取り直してこのグラフをもう少し分析してみようと思います(結局趣味に走っている気がする汗).分析というほど大した作業ではありませんが汗.
滞在した病棟との関連
先程,平均-3SDを下回る箇所がありましたが,あれはどこにいたときでしょうか?察しの良い方はわかるかもしれません.
そうです,PICU滞在期間に体重が激減したのです.平均値より3kg以上の乖離を記録したのもこの時期です.
ノーウッド手術という大手術のあとですからね,無理もありません ^^;
イベントとの関連
イベントというか,処置と言うか,とにかく治療にまつわる各事象と体重変化の関係性に着目してこのグラフを見てみます.
情報が増えたので,ごちゃついてすみません汗.各事象に対しての補足を,以下に記します.
- バルーン1では,肺動脈バンディングを一段階広げる心カテ術を行いました.点滴により水分が溜まり体重が増えたのですが,何故かその後戻らずそのまま体重増となりました笑.
- 基本的に一般病棟にいる間に体重が伸びているのは,おかーちゃんの頻回授乳作戦の賜物です.
- バルーン2では,閉じかかった卵円孔(心房中隔欠損)を広げる心カテ術を行いました.この後からあっくんの調子が悪くなり,全然ミルクを飲まなくなってしまい,体重減となりました.
- ノーウッド手術後,PICUにいる間は一気に体重が落ちました.
- 一般病棟に戻ってからはミルクを飲まなくなりしばらく体重減でしたが,途中から自力で飲めるようになり,体重が一気に増となります.
- 退院後も何度か体重測定の機会がありましたが,順調に増加しています.
現状は
そして現状,体重は平均-2SDの水準に達しました.平均まであと2kgのところまで追いつきました!
あまり急激に体重が増えるのも身体には良くないようなので,少しずつ追いつけているこの状況はひとまず健全であると解釈しています ^^
おわりに
今回は,あっくんの体重曲線を,治療の各フェーズと関連させながら眺めてみました.
入院中のご家族は,子供の体重が伸び悩んで不安になることがあると思います.私達もそうでしたし,実際あっくんの体重は平均から著しく低い水準にあったことが,今回のグラフからも理解できます.
しかし,今やあっくんはブクブク太ってギャーギャー喚くほど元気に成長しています.毎日の体重測定の度にいつもより体重が低いと心配になる気持ちを抑えることは難しいかもしれません.しかし,長い目線で見たらきっと回復するのです.今回の投稿が,そんな希望を少しでも抱いて頂けるきっかけになれば幸いです.
あっくん:「プックプクだぜー!」
おとーちゃん:「離乳食めっちゃ平らげるもんな ^^;」
P.S. もう少し標準偏差について
しつこいですね笑.これ以降は無視して頂いて構いません.
筆を進めていたらつい書いてしまった文章が構成上浮いてしまったのですが,このまま消し去るのももったいない気がしたのでP.S.にします笑.
実は結構馴染み深い
実は標準偏差,高校入試や大学入試の偏差値の計算にも使われているのです.
平均点がずれたり,テストの難易度が変わったりして,点数自体がテスト次第で度々変化することがあっても,偏差値の方はテストに依存せず概ね安定した値となりますよね?
それは,平均点と標準偏差を活用することで,集団全体の得点の水準とばらつき度合いも加味したパラメータとして,偏差値を計算できるからなわけです.
TOEICの点数が大体安定するのも,同様の統計的手法によってスコアが算出されているためと思われます.具体的な計算方法まではよく分かりませんが.
もしちゃんとおさらいしたいなら
私の時代の教育課程の話ではありますが,標準偏差は高校二年生の数学で修学する範囲でした(ただし選択性でしたが).当時はわけも分からず公式を丸暗記するだけで終わった気がしますが笑.
そんな普通なら忘れちゃうような標準偏差をちゃんとおさらいしたいという素敵な方がもしいらっしゃったら,下記事が超絶分かりやすいです.
書籍で確率統計を復習するなら下書籍が素晴らしく分かりやすいです.
はい,この辺りで止めておきます ^^;