近頃、本ブログではあっくんの左肺動脈閉塞とその手術について何度か言及してきました。
今回の肺動脈閉塞に伴う手術については、スパッと説明しにくい部分もあり、家族も皆不安になっています。 人の不安というものは、何がどうなっているか、今後どうなっていくのかがよく分からないときに助長されます。
おそらく読者の皆様にもいまいちよく伝わっていないと思います。これはひとえに私が他者に伝わるような記事を書いていないからだと認識しています。 今回は、きちんと順序立てて説明をします。
そこで、今回の肺動脈閉塞の経緯を示した上で、今後起こりうることの全体像と現在のあっくん位置づけについて、図説を試みます。 これで家族の見えない不安が少しでも改善されるのが一番の願いです。
そして、同じような状況におかれた家族にとって少しでも参考となる情報を提供できれば幸いです。
まず本エントリでは、経緯について述べます
これを受けた治療方針については、以下のエントリで説明しています。
中間カテーテル評価について
2018年2月、昨年のノーウッド・グレン手術入院から退院してちょうど1年ということで、中間カテーテル評価を行いました。
そこで、左肺動脈の閉塞が初めて確認されました。
おさらい
あっくんは、左心低形成症候群持ちで、ノーウッド・グレン手術まで完了した状態です。激ムズなやつです。
詳細は下記エントリをご参照ください。
今まで気が付かなかったのか?
血液検査の結果が全て良好だったことが裏目に
毎月外来時に血液検査を実施しましたが、特に異常は確認されませんでした。これが裏目に出てしまったのです。
心不全の度合いを示すBNP、右上大静脈の血圧も良さげだったとのこと。 BNPが多少上昇したときもあったようですが、左心低形成症候群持ちにしてはずいぶん良い値でした。何度も言いますが、これが裏目に出てしまったのです。
グレン循環が優秀過ぎて、計測可能なパラメータに異常が出なかったのでしょう。 異常が出ないから追加検査を行おうというきっかけもつかめなかったのです。
エコーでは左肺動脈の観察が難しい
ノーウッド手術とグレン手術は、左心低形成症候群の子が生き残るために必要な手術なのですが、メンテの観点からは非常に相性が悪いようです。
まず、ノーウッド手術で形成した大動脈は、元々肺動脈だった太い血管と大動脈弓をいい感じにつなげるために、かなり複雑な吻合を行っているようです。 そうして出来上がった大動脈というのは、どうしてもある程度太くならざるを得ないよう。このため、大動脈の裏側の観察が構造上難しくなります。
これに加えて、あろうことかグレン手術による左右肺動脈の吻合部が、なんとこの再形成した大動脈のちょうど裏側という相性の悪さ。 ただでさえ見えにくい場所の、しかもちょうど真後ろ。カテーテルにかなり熟達した医師でもエコーだけでこの部位を詳細に観察することは極めて困難だったということです。
もちろん主治医もそれを認識していて、あまり観測できないこの肺動脈を定期的に見てあげようということで中間カテーテル評価を行ったところ、 開けてびっくり玉手箱。ずばりドンピシャに隠れてた部分がやれちゃってたという流れだったのです。
カテーテル検査の意義は達成されている
つまり、主治医の読みはある意味的確だったと言うことです。
左心低形成症候群の子にしてはサチュレーションも血液検査もエコーもレントゲンも、なんもかんもそれなりに優秀な検査結果を毎回叩き出していたあっくんに対して、 それでも万が一のことがあってはならないから念の為にカテーテル評価を行いましょう、という流れから今回の閉塞が見つかったわけですから。
これだけ結果が良ければ、主治医によって大丈夫でしょうと流されていた可能性もあるところで、敢えて検査をして下さったのです。 慎重派と噂される先生ならではのご判断だと思います。
どうやって見つけたのか?
造影剤を注入してX線撮影をすることで血流がわかるのですが、その検査で判明しました。
まず右肺動脈側から造影剤を注入した際、その左肺動脈側のフローが遮断されていました。これは大変です。
左肺動脈が欠損してしまってやいないかと、今度は左肺動脈側から造影剤を注入すると、やっぱり右肺動脈へのフローが遮断されます。 ただし、左肺動脈は欠損まではしておらず、細いにせよまだ使える見込みがあるとのことです。
なんで左肺動脈は閉塞しているのに生き残っているのか?
側副血行路という異常血管が左肺動脈と結合したため、かろうじて栄養が行き渡っていたようです。
側副血行路とは
心臓病児にはよくあることのようで、グレン循環だとチアノーゼが解消されていないのでサチュレーションが低くなります。 すると体は「あ、サチュレーションが低い。血が足りない。もっと血管よこしてあげないと。」と言わんばかりに、 ウジャウジャした血管が肺や肺動脈にまとわりついていくようです。
これによってサチュレーションが上昇します。一見良いことのように見えますが、実はそうでもないのです。 この側副血行路は主に動脈(特に内頚動脈)から伸びてくるようなので、本来であればこれはチアノーゼを増幅させる危険因子です。
しかし、グレン循環等心臓病持ちの場合にはたまたまいい感じに釣り合ってサチュレーションを上げてしまうようで、体が勘違いしてどんどん増やそうとしてしまいます。
あんまりひどいときにはコイル等で焼き切ることもあるようですが、いたちごっこ的で切りがないので、通常はフォンタン手術まで経過観察をするようです。
フォンタン循環に到達しチアノーゼが解消されれば、今度は体が「あ、こいつはサチュレーション下げるやばい血管だ。控え控えー!」と言わんばかりに、 異常血管が消えていく形で、ゆくゆくは改善されるようです。
で、なんで肺動脈は生き残ってるの?
そんな本来は邪魔な側副血行路くんのおかげで、閉塞された左肺動脈のフローが確保され、栄養が届いていたようです。 だから、かろうじて血管が残っていたとのこと。
ありがとう、側副血行路くん。
なぜ閉塞したのか?
真因は不明です。
推定原因としては、左右肺動脈吻合部の隆起でフローが滞り、血栓が生じたかも?程度の推測しかできない状態です。
素人目線では、左右の血管を吻合するときにそんなに隆起するものとは思っていなかったので、なるほどそんなこともあるのかと感じた次第です。
放置はできない
とは言え、異常血管に頼ってばかりはいられません。なんとか閉塞状態を解消しなければ、まともにフォンタン循環に到達することができません。
だから、
という流れになったのです。
あわてない
確かに今回の件は予想外の展開ではありますが、あわてず冷静にことに当たれば、きっとおのずと光明が見えてくるはずです。
今回も禅語に力をお借りすることにします。
春になれば勝手に草は咲くものです。私たちがどう頑張ったところで、花が咲かないということはないでしょう。 (ビル○様とかフリー○さんとか地球ごとぶっ壊せるなら話は別でしょうが笑。)
逆に言えば、しかるべきタイミングできちんと花は咲くはずなのだと思います。焦って咲いた花は、かえって気候の変動に振り回され、早く枯れてしまうのが自然の法則というもの。
遅れようが、予想外のことが起きようが、焦てず騒がず、まずは落ち着いて今できる最善の策を講じるべき。おのずと時は訪れ、事はなるように解決されるはずです。
やれることが同じなら、泣いても笑っても、結果は変わらないのですから。
おわりに
長くなってきたので、今回はひとまずここまでです。
次のエントリでは、今後の治療方針について説明します ^^ ↓ www.akkun-ikiru.com
あっくん:(いやはや、まさかこのわたくしがカテ評価で躓くとは思っておりませんでしたな。てへ! from 夢の中)
おとーちゃん:笑い事ではございません ^^; またもうちょい頑張ってもらわなくちゃいけなくなったけど、何とか辛抱してけれや、あっくん。